こんにちは、院長です。
北海道も緊急事態宣言が解除になりました。当地すすきのは、人出が戻ったように見えます。ただ、2月までと違うのは、外国人がほとんどいないことです。観光バスも見かけなくなったし、旗を持ったガイドさんと団体旅行者がいなくなったことです。今は景気が良かった頃の雰囲気が残っているので、街が寂しい感じではないのですが、これから不景気に突入すると思うと・・・私は、札幌に約半世紀ずーっと住んでいるので、拓銀が潰れて、テルメやカブトデコムやトマムが潰れて、バブルが弾けたあとの札幌も知っているので、またああなるのかな…と、とても心配になっています。
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今回は、5月病のお話をします。
今年の5月は、自粛でステイホームだったので、いつの間にか過ぎ去り、毎年のように耳にする「5月病」がなかったのかな、と思われがちです。実際、受診される患者さんは例年になく少ないです。
5月病とは、正式な医学用語ではありません。そんな病名もありません。精神科医ですら、「5月病ってなんだ?適応障害のこと?!」という程度の認識です。
5月病の症状はさまざま
5月病は、日本だけの特殊なもので、年度替りの4月で、就職、転職、異動、昇進、業務変更、引っ越し、入学、進学等の環境の変化に伴う、心身の反応のことです。心身の反応は様々で、ゆううつ気分、不安感、緊張感、自信の低下、疲労感、動悸、めまい、微熱、不眠とかとか…です。さまざまな症状なので、症状によって、「抑うつ状態(またはうつ病)」や「適応障害」や「不眠症」や「心身症」などと診断されます。症状が軽いものから重いものまで、一時的なものから長期に渡るものまで、症状が自分の心がけで乗り切れるものから自分でコントロールできないものまで、さまざまです。その総称が「5月病」なのです。
ステイホームで自殺者が減った
今回、コロナで失業された方や倒産された会社が増えているので、ステイホーム期間中に自殺者が増えると思いきや、この数年で一番少なかった、というニュースを見た方もいらっしゃると思います。統計の話ですが、以前から、自殺者が少ない時間帯は、午後7時ころだというのは有名な話です。これは、一人ぼっちにならずに家族の誰かがいる時間帯だから少ないのだと言われています。今回、ステイホームで自殺者が減ったのは、ステイホームにより家族だんらんが続いたので、死を思いとどまったものと推測されます。
仕事がなくなり、会社がなくなり、大きな環境の変化に伴う、強い心身の変化があったにもかかわらず、家族の助けもあって、安全に過ごすことができても、ステイホームが終わったら、一人になる時間が増えると・・・
5月病とコロナショックが重なった
今年は、年度替りによる5月病、同時期に起きたコロナショックが重なりました。まだ、コロナハイで乗り切っている方もいらっしゃるかと思いますが、限界に達し、その後、気持ちがブルーになって、心身の不調に見舞われるリスクもあります。いつもの5月病より、今年はやっかいです。
まずは、こころのセルフケアが大切です。
症状のでる理屈を知ること、自覚することです。
それでもつらい場合は、メンタルクリニックを受診することも厭わないでください。