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メンタルクリニックを受診したくない方へ

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院長です。

まずは世間話から。

ネットでラジオが聴けるのは便利で、ジムで運動しているとき、電車で移動しているとき、運転しているときなど、以前から、よく聴いています。最近はイギリスのあるFM局が好みです。CMもニュースも流れる生放送で、好きな洋楽が聞けます。

私は、テレビより、断然ラジオ派です。特に、録画してまでテレビは絶対にみません。録画したものあとで見るなんて、取り残された感じがして、どういう訳か時間の無駄に思えるのです。私と同じような感覚の人って他にいるんでしょうか。というわけで、ラジオばっかりです。

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メンタルクリニックってまだまだ敷居が高いですよね。うつ状態の人の7割は、まずは内科に受診するとの統計があります。うつ状態は体に症状が現れることがあるから、まずは内科に受診するので、このような統計結果になるのではないかという話ですが、私は、そんなこともないと思っています。

弱っている自分に気づいていても、なかなか精神科に受診したくなくて、もがいている人がたくさんいるってことも忘れてはなりません。なぜ、受診したくないのでしょうか・・・

  • まだ精神科に受診するほどの症状ではないと思っているから
  • 精神科を受診したら、自分が情けない、終わった、と思うから
  • 精神科医のイメージが怪しくて、よくないから
  • 一度受診すると、薬漬けにされるから
  • 人に自分の弱みを見せたくないし、話を聞いてもらいたくないから

仮に、私が患者さんの立場なら、他人に自分の悩みを気軽に話したいなんて思いません。ましてや、ネットの情報では、精神科医なんて、怪しいし、時間とお金の無駄になりそう、と思うと思います。精神科医との相性は、ふつうの人との相性と同じで、合う合わないがありますから、患者さんからしたらブラックボックスのようなものなので、受診するまで、ためらうのは、当然なことです。

自分が弱っているときは、ストレスに晒されているときだと思います。自分で明確にわかっている原因もあれば、よくわからないものまで様々です。ストレスに晒されていると、焦ったり、不安になりやすかったり、緊張したり、寝られなかったり、ゆううつな気分になるという変化をもたらします。

体にも症状が現れます。肩こり、頭痛、倦怠感などで、心身症と言うべきものです。

昔から「病は気から」と言いますが、人の心は、気の持ちようだけではありません。医学研究は進歩しており、脳内で起こっている変化について、解明されつつあります。オバマ前アメリカ大統領は、莫大な予算をつけて研究をすすめていたのは有名なことです。心の病は、性格や気合や努力が不十分ということではないのです。

 

ストレスに晒される→脳の扁桃体の暴走→不安緊張のスイッチオン→ストレスホルモン上昇→海馬のダメージ→うつ状態

 

脳にある扁桃体は、とても動物的な部分で、人間でなくても、動物は恐怖を感じれば逃げたり吠えたりと瞬時に反応するものです。扁桃体の暴走をコントロールするのが、大脳新皮質というところで、ここは高等生物たる人間らしい部分ですが、特に前頭前野を鍛えることが有効と考えられています。

そこで、怪しいメンタルクリニックを受診したくないけど、このつらい気持ちをなんとかするには、具体的にどうしたらいいのか、簡単にご説明します。詳しくは、自分で調べたりしてくださいね。

時間が解決する

悩む人は焦っているので、さらに不安になったりするものです。しばらく、棚上げするとか、放っておくとか、誰かに任せるとか、そういう視点で考えられませんか。しかし、時間が全てを解決してくれる訳ではないので、さらに、以下のように、悩んで意味を見出すことのほうが、じつは大切なのです。

論理的に考える

論理的な思考は、前頭前野のはたらきを強め、扁桃体の暴走をおさえます。心のモヤモヤをそのままにしておくのは、良くないことです。例えば、文字に書いて、整理する、日記をつけて、振り返るのはどうですか。心で何度も同じことを悩むよりは、文字に書いておいて、読み返して悩むほうが心に負担は少ないはず。

フランクルという人は、悩むことも大切だと言っています。悩むのは人間だけができること。大切なのは、楽観的な理想や目標をもたないで、自分に今求められていることは何か、何ができるか、自分を待っている人や事がないか、考えてみることです。今に目的を見出すだけでも、頑張れるものです。

瞑想・座禅・マインドフルネス

「今」だけを考えて、前頭前野は扁桃体をコントロールします。今とは何か。例えば、目をつぶって、自分が呼吸をしていることだけを意識してください。その間、先々の不安は考えないようにします。

運動する、森を歩く

からだを動かすと、不安や緊張といったネガティブな感情が軽くなります。脳内のベータエンドルフィンやセロトニンをアップさせて、扁桃体の暴走を抑えてくれます。週に1度でも有酸素運動がいいでしょう。森を歩くのは、セロトニンの他に、森林の匂いのフィトンチッドのような嗅覚からくるリラックス効果、葉のさわさわ動く音や川のせせらぎのような1/fゆらぎ、高い空や遠くをみて緊張を緩和して、日光をあびて、総合的に心を安らげる素晴らしい効果を発揮します。

日光をあびる

脳内のセロトニンをアップさせて、扁桃体の暴走を抑えてくれます。冬に寝過ぎたり甘いものばかり食べてゆううつになるのも、引きこもりの人がうつっぽいのも、日光を浴びる時間が短いせいです。カーテンを開けて、窓越しでも午前中の日光を浴びませんか。

呼吸を整える

焦ったり緊張すると、呼吸が浅くなります。浅くなって吸いすぎるものが、過呼吸です。その前に、意識的に口をすぼめて、口から8秒かけて息を吐きましょう。私は、診察前後で緊張したり疲れたりするときは、実践しています。6秒間の息止めも有効です。大勢の前で話す直前、息を止めてから話すようにすることもあります。副交感神経が刺激されて、瞬間的なリラックス効果は抜群です。

たべもの

セロトニンの合成に必要なトリプトファンを多く含む食べ物をとりましょう。カツオ・マグロ・ハマチ・牛肉や豚肉の赤身・乳製品・大豆・ナッツ類です。大豆プロテインも有効です。いい気になって、回転寿司で赤身ばかり食べるのは、返って塩分が心配ですが 😉

精神科医がおすすめするのは、筋違いかもしれませんが、セントジョーンズワートというサプリも有効です。

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これらは、ストレス緩和にたいして、どれもこれも大事なエッセンスですので、「メンタルクリニックに受診したくない人」以外の方でも共通することです。現在治療中の方だって、これらを意識したら、自己治癒力が高まると思います。

最後に誤解のないように一言。つらい方は、どのタイミングでもいいので、クリニックを受診してくださいね。いつでもお待ちしております 🙂