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激しい運動でメンタルを健康に!

こんにちは、院長です。

患者さんには、診察で、いつも、「運動してください」「歩いてください」「せめて外の空気を吸ってください」、さらには、「踏み台昇降運動いいですよ〜」「腹筋ローラーいいですよ〜」と、しつこく伝えています。これは難しく言うと「療養指導」っていうんですよね。

精神科にも療養指導があります…きっと、あるはず!

と思っています。

療養指導というと、糖尿病や高血圧症とか心臓病とかの生活習慣病で、お医者さんが患者さんに行うイメージがありますが、私は、メンタルヘルスにも療養指導を!と思っています。口頭で、書面で、実物をみせて、あの手この手でやっています。診察室にはいろんなグッズがあります。

今回、運動について、私が勝手に選んだ世界の論文のレビューをしてみます。

・・・

皆さんは運動していますか?

私は20年以上ジムで筋トレをしていてかなり力持ちになりました。肩こりやダルさ知らずです。昨年は毎週末に登山をしました。山頂で食べたカップラーメンは格別です。

さて、

1985年の論文

80年代は、なんとなく運動はうつを良くするかもね、という感じ。
Taylor CB, Sallis JF, Needle R. The relation of physical activity and exercise to mental health. Public Health Rep. 1985;100(2):195-202.

2000年の論文

運動でうつが良くなる!けど予防にはならないよ!
Paluska SA, Schwenk TL. Physical activity and mental health: current concepts. Sports Med. 2000 Mar;29(3):167-80. doi: 10.2165/00007256-200029030-00003. PMID: 10739267.

2008年の論文

身体活動の時間が短くても長くても、うつのリスクを低下させる。激しい運動は激しくない運動より、低下させる。けど、激しくない運動でもしないよりは低下させる。だから、短い時間で激しくなくても運動してうつを予防しよう。
Teychenne M, Ball K, Salmon J. Physical activity and likelihood of depression in adults: a review. Prev Med. 2008 May;46(5):397-411. doi: 10.1016/j.ypmed.2008.01.009. Epub 2008 Jan 26. PMID: 18289655.

2009年の論文

運動は精神疾患になる脳の機能変化を遅らせる可能性がある。神経伝達物質の放出、神経栄養因子と神経新生、および脳血流の変化が関係してそう。
Deslandes A, Moraes H, Ferreira C, Veiga H, Silveira H, Mouta R, Pompeu FA, Coutinho ES, Laks J. Exercise and mental health: many reasons to move. Neuropsychobiology. 2009;59(4):191-8. doi: 10.1159/000223730. Epub 2009 Jun 10. PMID: 19521110.

2011年の論文

運動は、軽度から中等度のうつ病の治療としての抗うつ薬と比べて遜色がなく、薬の補助として使用するとうつ症状を改善させる。
Carek PJ, Laibstain SE, Carek SM. Exercise for the treatment of depression and anxiety. Int J Psychiatry Med. 2011;41(1):15-28. doi: 10.2190/PM.41.1.c. PMID: 21495519.

2019年の論文

中等度から激しい強度の運動は、学業成績や認知機能を改善させる。
Erickson KI, Hillman C, Stillman CM, Ballard RM, Bloodgood B, Conroy DE, Macko R, Marquez DX, Petruzzello SJ, Powell KE; FOR 2018 PHYSICAL ACTIVITY GUIDELINES ADVISORY COMMITTEE*. Physical Activity, Cognition, and Brain Outcomes: A Review of the 2018 Physical Activity Guidelines. Med Sci Sports Exerc. 2019 Jun;51(6):1242-1251. doi: 10.1249/MSS.0000000000001936. PMID: 31095081; PMCID: PMC6527141.

そして、

2020年の日本の論文

認知機能やメンタルヘルスの強化のためには、中等度から激しい強度の運動を、週にわずか1〜2回10分だけでも効果がある。ウォーキングより効果がある。
Nakagawa T, Koan I, Chen C, Matsubara T, Hagiwara K, Lei H, Hirotsu M, Yamagata H, Nakagawa S. Regular Moderate- to Vigorous-Intensity Physical Activity Rather Than Walking Is Associated with Enhanced Cognitive Functions and Mental Health in Young Adults. Int J Environ Res Public Health. 2020 Jan 18;17(2):614. doi: 10.3390/ijerph17020614. PMID: 31963639; PMCID: PMC7014044.

というわけで・・・

いまのところの結論(大雑把なまとめですが)

  • メンタルヘルスの健康(うつの予防や改善)のためには、短時間の弱い負荷の運動でも、やらないよりは効果がある。ウォーキングでも良い。
  • とくに、週に1,2回10分だけでも激しい運動(筋トレとか)をするのが良い。
  • 運動は、精神の安定の他、記憶力や思考力も改善させる。
  • 運動で、脳内のホルモンが増え、神経が増え、血流が増えることで、その効果を発揮する。

以上です。

皆さん、可能な範囲で、運動してくださいね!

 

今後、栄養・光線・呼吸について、世界の論文のレビューを書きますのでお楽しみに!