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勃起不全と精神疾患

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院長です。

最近めっきり暑くなりました。札幌は風も強いですね。低い雲や積乱雲も発生しやすくなって、急に雨が降ったり、暑くなったりと、風が強いのも頷けます。私、ユーキャンで昨年から気象予報士の通信講座を受講していたのですが、結局、基礎だけやって、あとが面倒くさくなって、勉強しなくなって、受講期間が終わってしまいました。お金を無駄にしてしまいました。

・・・

さて、今日の話。

メンタルクリニックに通院される患者さんの中には、勃起不全射精困難性欲低下等の困りごとがあるけれど相談できていない方います。ここ数年は、私自身、診察の時には、なるべく聞くようにはしていますが、案外困っている方は多いと思います。

ここでは、うつ状態や不安状態等による「心因性」と向精神薬服用による「薬剤性」の大きく2つに分けて考えます。

米国精神医学会が刊行している精神疾患の診断分類にDSM-5というものがあるのですが、その中に、「性機能不全群 Sexual Dysfunctions」という項目があります。勃起障害、射精遅延、性欲低下障害いずれの診断ガイドラインの末尾には、「他の精神疾患に診断されていない者、物質や医薬品の作用、医学的疾患によるものではない者」と記載されていています。

しかし現実的に、メンタルクリニックに通っている患者さんで、この診断基準を満たしている方はゼロです。だって、何かしら診断されていますから。

そこで私が考えるに、以下のように分類します。

心因性 うつ状態、不安状態をベースに、性機能障害を来している場合。ご病気を経験した方なら、容易に、性欲低下のイメージをつかめると思います。
薬剤性 実は、薬剤性が見逃されがちなのです。だいいち、薬のせいかどうかわからないわけですし、患者さんも相談しにくいし、医師も、性機能までは聞かないことが多いのではないのでしょうか。しかし薬によっては、50から80%で勃起不全が生じることがわかっています。

 

カプランという有名な精神医学の教科書によると以下のように書いてありました。

  • すべてのSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は性機能障害を引き起こす。長期使用と関連する有害作用のなかで最も頻度が高く、50から80%で発生する。オルガズム欠如や抑制、性欲減退が高頻度である。
  • 勃起不全治療薬Aは、男性におけるSSRIにより誘発された無オルガズム症の治療に効果があるという報告がある。
  • SSRIではない抗うつ薬Bは、性機能障害の実際の頻度は不明。
  • SSRIではない抗うつ薬Cは、性機能障害を引き起こしにくい。
  • 非定型抗精神病薬Dは、勃起障害やオルガズム障害を引き起こす。

実際は、メンタルクリニックに通院される患者さんは、実際、心因性と薬剤性の複合的要因によって、性機能障害が引き起こされていると考えられます。

うーむ。当クリニックでは、なんとかしたいと準備を進めているところです。

(つづく)

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