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職場復帰のハードルが高い!?

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こんにちは、院長です。

今日は会社を病気で休んでいる人が復帰する時の話です。

どれくらいの人が休んでいるの

病気で会社を長期に休んでいる間は当然給料が満足に貰えない訳ですから、健康保険等の公的医療保険に加入している人は、療養中の生活保障として傷病手当金というものを受け取ることができます。当クリニックでは月に1000名弱の患者さんが受診していて、この1ヶ月だと約20件の傷病手当金の申請のための意見書を作成しました。

原因は

人が会社を休職する理由は様々ですが、私の経験で多いと思うのは、過重労働とハラスメントです。もともとうつ病等の私傷病があり、それが悪化したり、または健康だったのに初めて適応障害やうつ病を発症したりするケースもあります。いずれにしても業務が一因であることが殆どです。(しかし、家族の死別、ペットの死別、身体疾患の悪化等による、業務に起因しないメンタル不調が原因で休職されることもあります)

さて、復帰

休職している最中は、我々のような町医者に通院して治療に専念することになります。その後良くなれば、職場に復帰を申し出ることになりますが、そのハードルが高い会社が増えてきているような印象があるのです。

「100%治ってないなら、復帰は認めない」とか「復帰するなら、治っているということなんだから、仕事を以前通りにやって当然」と言う(体育会系みたいな)会社は、昔からある、ある種のあるあるで、いつもがっかりさせられます。

最近では、また違った復帰のハードルの高い会社があって、びっくりしました。

自宅療養中なのに、主治医の治療とは別に、会社が「あなたが変わらなければ、職場で受け入れることは難しい」と言う前提で、心理学の本を読みなさい、感想を報告しなさい等と、あれこれと積極的に介入してきてプレッシャーをかけ、ダブルスタンダードを強いるケースがあります。患者さんも私も困惑します。

残念なことにその会社は大きな見当違いをしていることに気づいていません。

「あなたに問題があるから、あなたが変わらなければならない」ということなら、職場は改善する必要はないとでも言いたいのでしょうか。その人にとって過酷な労働環境だったからこそ、メンタル疾患を発症したわけですから、会社側も配慮する必要があるはずなのに、それを棚に上げて、休んでいる人が変われと強要しているようにしか思えません。

思うに、精神医療の特殊性も関係しているのかなと思います。精神疾患の治療は次元の違う要素を上手に使い分けて進めます。主に、(1)患者さんの疾患を(薬とかで)治療すること、(2)患者さんを心理的にケア(ケアを受ける、自ら気づき行動する等)すること、(3)患者さんの環境を整えることです。産業医学で大事な順は(1)→(3)→(2)です。(3)の例として法的にも判例的にも、会社が人に合わせる努力は必要だと思うし、障害者でなくても、治療中の人に対して、民間企業でも合理的配慮を提供する義務があるはずです。

職場の人が、(3)職場環境の調整を積極的にしようとせず、(2)「あなたの考え方がおかしいから、職場に適応できなかったんだ」という見当違いのメッセージばかり休職者に伝えてしまうことが問題点です。

さて

私は休職されている患者さんにたいして「休んだのはあなたが悪かったわけじゃない。会社が悪かったんだから、何も自分を責める必要はない」と伝えています。まずはしっかり病気を良くして、復帰時に職場の理解と配慮を受けることが大事なのです。しかし精神疾患にたいする偏見や誤った理解があると、このように復帰のハードルが高くなってしまいます。残念です。

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