院長です。
冬は、暗くて寒くて、つらいですよね。
若い頃はそんなの気にしないし、体調の変化も感じないものですが、30代くらいからは、だんだんと体調への影響に気づき始めます。
だって、人間は動物だから、太陽の日差しの強弱に影響を受けて当然なんです。
雪がとけて春っぽくなると、朝日が早く登るようになります。
例えば、4時、5時に太陽の日が登ると・・・
その頃から、起きる時間が早くなります。
(若い頃はそんなの関係なしに、いつまでも朝は寝ていられましたけど・・・)
海水浴やサイクリングなど、屋外で太陽を浴びる時間が長かった日があると、その後数日間は、気分が良くなります。
太陽の光は、メンタルにとって、とても大切のものなのです。
私は「治療は、薬を飲むことがすべてではない」と患者さんに言っていますが、光を浴びることも治療のひとつなのです!
睡眠が改善し、ゆううつ気分が良くなり、元気になるものなのです。
・・・
さて、私が勝手に選んだ、世界の論文をレビューして見ましょう。
2007年の論文
光療法によって、季節性情動障害の抑うつ症状が改善した。(スウェーデンではライトルームという光療法のための明るい部屋で治療するのが一般的のようです)
Rastad C, Ulfberg J, Lindberg P. Light room therapy effective in mild forms of seasonal affective disorder–a randomised controlled study. J Affect Disord. 2008 Jun;108(3):291-6. doi: 10.1016/j.jad.2007.10.009. Epub 2007 Nov 28. PMID: 18053580.
2009年の論文
光療法の色について。約470nmの青色波長の光の方が、抑うつ症状の改善に優れている。
Strong RE, Marchant BK, Reimherr FW, Williams E, Soni P, Mestas R. Narrow-band blue-light treatment of seasonal affective disorder in adults and the influence of additional nonseasonal symptoms. Depress Anxiety. 2009;26(3):273-8. doi: 10.1002/da.20538. PMID: 19016463.
2009年の論文
青色の短波長LED光源は、従来の蛍光灯よりも少ないルクスで季節性情動障害に効果的である可能性がある。
Anderson JL, Glod CA, Dai J, Cao Y, Lockley SW. Lux vs. wavelength in light treatment of Seasonal Affective Disorder. Acta Psychiatr Scand. 2009 Sep;120(3):203-12. doi: 10.1111/j.1600-0447.2009.01345.x. Epub 2009 Feb 3. PMID: 19207131.
2017年の論文
双極性感情障害のうつ状態にたいして、光療法は、効果的で安全な追加療法になりうる。500ルクス以下の薄暗い光より、10000ルクスの明るい光の方が効果があった。
Yorguner Kupeli N, Bulut NS, Carkaxhiu Bulut G, Kurt E, Kora K. Efficacy of bright light therapy in bipolar depression. Psychiatry Res. 2018 Feb;260:432-438. doi: 10.1016/j.psychres.2017.12.020. Epub 2017 Dec 12. PMID: 29268206.
2020年の論文
光療法は、双極性感情障害のうつ状態を軽減させる効果的な治療法であることが示された。躁転率は1.1%だった。
Hirakawa H, Terao T, Muronaga M, Ishii N. Adjunctive bright light therapy for treating bipolar depression: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Brain Behav. 2020 Dec;10(12):e01876. doi: 10.1002/brb3.1876. Epub 2020 Oct 9. PMID: 33034127; PMCID: PMC7749573.
私的なまとめと考察
日本では、光治療器は、医療機器として認可されていません。ですが、世界中、とくにスカンジナビア半島の北極圏に近い国の人々にとって、季節性のうつ状態は大変な問題ですから、当然のごとく、医療機器として認可され、普通にネットで手に入れることができます。
日本で、光治療器を手に入れるには、北米や欧州で医療機器として承認されたものをネットで購入するか、中国製のような認可されていないものをネットで購入するかの二択です。前者は、流通量がごくわずかで数万円しますが、後者は、AliExpressやAmazonで数千円で手に入れることができます。
当院では、私が買った3台の光治療器があります。
- 海外で医療機器として認可されたフィリップス社製のGoLite Bluというブルーライトのもの。たしか2万円くらいしたと思います。バッテリー内蔵でポータブルです。10000ルクス
- 中国製の白色ライトのもの。約3,000円。平均的な価格です。iPadくらいの大きさと軽さです。医療機器として認可されていません。10000ルクス
- 中国製の白色ライトのもの。約1,800円。AliExpressで販売している光治療器のなかで、もっとも安いものでした。iPadくらいの大きさと軽さです。医療機器として認可されていません。10000ルクス
性能の差は、チラツキがあるかどうかとか、光の強さはどうかとか、だと思いますが、正直、よくわかりません。現在、フィリップス社が生産終了したので、ネットで探しても、青色は入手困難ですが、白色でも10000ルクスあれば治療効果はあるはずです。1,800円のものでも遜色ないかな、と思っています。
ぜひ、お試しください!
日焼けすることに抵抗がない方であれば、日焼けマシンで光を浴びることも有効ではないかと考えています。そんな研究も論文もありませんが・・・
私の通っているジムでは、日焼けして健康的なマッチョな男女が体を動かしていますが、メンタルも元気そうに見えます。ボディビルダーで気落ちしている人はあまり見かけませんし、日焼けマシンでも一定の効果があるものと推測しています。
みなさんができることは、
とにかく、太陽の光を浴びることです!
カーテンを開けましょう!