こころと室内環境の乱れには、時に密接なつながりがあります。
うつ病による気力・集中力の低下、溜め込み障害(Hoarding Disorder)等々、多々ありますが今回は、主にADHDについて書いてみたいと思います。
アメリカ精神医学会の診断基準第5版(DSM-V)による注意欠如・多動性障害の診断基準のうち、部屋の片づけに関係ありそうな項目をいくつかピックアップした後、最後に参考になる動画をご紹介いたします。
b.注意を持続することが困難
h.外部からの刺激で注意散漫となりやすい。
視覚的に時間の経過を把握できます。
時間を決めて作業する時にいいですね。
音の刺激で気が散ってしまう場合に効果的
気が逸れてしまう原因になる誘惑(マンガやPC等)を視界から隠す
e.課題や活動を整理することができない。
i.日々の活動を忘れがちである。
さまざまな用途で使えますが、例えば・・・
(アドプラス自閉症・発達障害の人たちが安心して生活できるようサポートする支援グッズ通販サイトより)
一連の流れを視覚的に表すことができます。
大人でしたら文字を入れてもいいかもしれません。
(目に飛び込んできやすいフォントや色で)
そして、否応無しに視界に入る場所に掲示を。
ホワイトボードにマグネット、マジックテープ等々、色々な方法が考えられます。
他にも
↑タイムタイマーとイヤーマフのレンタルもできるそうです。
↑サイトのデザインが可愛らしい。子ども向けですが、大人にも応用できそう。
生活支援グッズのお店 ぽっしぇ|自閉症,発達障害,アスペルガー,ADHD,LD,ダウン症,知的障害
といった支援グッズの専門店があります。
子どもの物が中心ですが、大人のヒントになるものもあります。
手帳でスケジュール管理しようとしても、メモするのを忘れ、メモを見るのを忘れ、手帳をなくす忘れる方にもカレンダー方式は有効かもしれません。お薬も入りますしね。
(クリニック待合本棚より P.158にメモの話が出てきます)
モノがあり過ぎて整理できない場合は、100均のレジャーシートや大きな布、ビニールクロスを用意して、
「ゴミ(1年以上使っていない不要物)」「頻繁に使う物」「使用頻度少ないが重要」等とシートごとに分類してみるのもひとつです。
シートの柄に注意がいってしまう場合は、無地且つ上に乗せた物が見やすい色がおすすめです。
g.課題や活動に必要なものを忘れがちである。
ペンやハサミなど、日頃よく使う道具の紛失防止に。
紛失物を音でお知らせ。
f.精神的努力の持続が必要な課題を嫌う。
一旦、乱れた部屋をリセットさせるには、精神的・時間的・肉体的努力が必要となります。
伴走してくれるサポーターがいれば心強いですね。
片づけ箇所を小分けにし、注意が逸れないように見守ってくれる人がいると、サクサク進む場合もあります。
「苦役(片づけ、掃除)」を楽しさへ転換する仕掛けがあると、フットワークが軽くなります。
環境に働きかけることで、面倒な行動の敷居が下がります。
(刺激コントロールと呼ばれています)
札幌市の地下鉄にも食事・運動の行動変容をいざなう掲示があります。
楽しいことや好きなこと、自分の得意なことには、爆発的なパワーを発揮できるタイプの方は、一旦波に乗ると、いっきに取り掛かることができるかもしれません。
おもしろいこと、人を喜ばせることが好きな方は、SNSやメールで成果を人に見せることで、やる気のスイッチが入りそうですね。
素晴らしいお片付けドキュメンタリー動画がありました。
余計な刺激を減らす「消されたクローゼット」
既存の概念にとらわれない、斬新なアイディアです。
忘れないように玄関に置いても素通りしてしまう悩みを無くす「忘れ物防止兵器M1号」
発想力豊かな忘れ物防止兵器に感銘を受けました。
1日に4個室内にモノを持ち込むと、1年で1460個、モノが増える計算になります。
まずは、整理。
不必要なモノを見極めて取り除き、残った物を使用目的・頻度別に分けます。
その後、自分のライフスタイルと特性にあった収納にとりかかります。
ADHDと一口に言いましても、得手不得手は人それぞれです。
ライフスタイルと自分の特性、(収納グッズの買い足しや業者依頼する場合は)金銭状況、そして動き出すタイミングを見極めながら、無理のない範囲ですすめていくことがポイントかもしれません。
いつか、訪問看護や集団精神療法で何か出来ると良いなぁと夢想しています。
診察での薬物療法は勿論、回復に向かう引き出しはたくさんあったほうがいいので。